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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 移民の密入国への対抗に関するG7首脳声明

[場所] カナナスキス・アルバータ
[年月日] 2025年6月17日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文] 

 我々G7首脳は、「移民の密入国を阻止し対抗するためのG7コアリション」及び「移民の密入国を阻止し対抗するための2024年G7行動計画」を通じて、移民の密入国を阻止し対抗するとのコミットメントを再確認する。我々は、国境管理及び取締りを強化し、移民の密入国及び人身取引の双方から利益を得る、国際組織犯罪集団を解体することを決意している。

 移民の密入国は、マネー・ローンダリング、腐敗、人身及び麻薬取引等、我々のコミュニティの安全を脅かす他の重大な犯罪行為にしばしば結びついている。移民の密入国は、密入国者という脆弱な立場の人々を、身体的虐待、性的及びジェンダーに基づく暴力、強奪、労働搾取、強制労働並びに犯罪の強要を含む深刻かつ生命を脅かすリスクにさらす可能性がある。

 我々は、G7コアリションを通じて、移民の密入国との闘いにおける我々の法執行機関の運用及び捜査能力の強化並びに警察、司法、検察及び国境警備機関の間の国際協力の強化において具体的な進展を遂げてきた。

 我々は、内務・安全担当大臣に対し、G7行動計画のうち、本年、以下の分野についての取組を強化することを指示する。

・「資金の流れを追う」アプローチを採用し、犯罪者を特定するための金融情報及び情報共有を活用した革新的な解決策を模索する。行政又は司法手続を利用して犯罪者の責任を追及するとともに、彼らの資産を差し押さえ、犯罪収益を剥奪する。

・国境管理能力の強化及びリスクの認知向上によって出身国及び経由国と共に防止を促進する。

・組織犯罪集団が、移民の密入国活動の宣伝、調整及び促進のためにオンライン・プラットフォームを悪用することを防止するための、自発的な原則に合意すべく、ソーシャルメディア企業と連携する。

・安定を損なうことを目的として、又はハイブリッド戦争の戦術として移民を武器化することを含め、非正規の移住の助長を防止するため、輸送業者と協力する。

 我々は、我々の法制度と整合的に、移民の密入国及び人身取引活動が発生する国でこれらの活動に関与する犯罪者を対象とした制裁の行使の可能性を模索する。

 我々は、国際協力の促進を目的とした他の世界的及び地域的なイニシアティブとのシナジーを引き続き活用する。

 我々は、各国が自国の国益に資すると判断する合法的な移住のための政策の継続を支持する。我々は、移民の密入国及び人身取引の防止に取り組む中で、難民及び避難を強いられた人々を含む最も脆弱な人々の保護を確保しつつ、移民に対するあらゆる形態の虐待及び搾取に対抗することに引き続きコミットしている。その取組の中で、我々は、それぞれの国際的な人権に関するコミットメントを果たす。

(了)