[文書名] カナナスキス山火事憲章
我々G7首脳は、過去10年間に、森林のある大陸全てで記録的な山火事が発生し、しばしば国家の対応能力を超え、政府が他国からの支援を要請する事態に至っていることを深刻に懸念する。これらの激甚化する山火事は、人命を脅かし、人間の健康に影響を与え、住宅や生態系を破壊するとともに、政府及び納税者に毎年何十億ドルもの損害をもたらしている。
我々は、山火事の発生及び悪影響を軽減するための統合的な行動をとるとともに、必要な場合には、相互に、またパートナーを支援する用意を整えることにより、山火事を防止し、これと闘い、及びこれから回復するため、国際協力を加速させることを決意する。
我々は、山火事の発生を防止し、軽減するため、以下の措置を講じる:
・ 政府の様々なレベル、先住民、地域社会、国際機関及び非政府組織、学術界並びに民間部門を含む、社会全体的なアプローチを採り入れ、リスク軽減に関して知識を共有するとともに、研究を推進する。
・ 科学的研究及びローカルな知識に基づいた緩和と適応のための方策を実施し、深刻な山火事のリスクを軽減する。これらの方策としては、持続可能な森林経営、自然を活用した解決策、文化的な又は制御された火入れを含む先住民の土地管理手法及び、コミュニティ、建物、インフラ周辺での火災リスクの軽減措置の採用といったものがある。
・ 偶然又は故意に発生する山火事の件数を減らすことを含む、山火事の様々な原因及びそれを防止するための措置に関する認識を高める。
我々は、山火事の発生に備え、これに対応するための、世界的な能力を強化するために、以下の措置を講じる:
・ 火災危険度評価システム、地理空間技術及び山火事が居住地域やインフラ施設に接近した際の早期警報を提供するシステムといった、山火事を予測、特定及び監視するシステムを構築するための研究、ツール及び技術を活用する。
・ 異なる人口集団への影響を含む、山火事及びその影響をよりよく理解し対応するためのデータ収集及び情報共有に関して協力する。
・ 山火事への曝露が人間の健康及びウェル・ビーイングに及ぼす影響を緩和し、対応するための共通の能力を構築する。
・ ベストプラクティスの共有、及び関連する場合には、訓練も含め、山火事対応に関する共通の手順、能力及び手続の開発を通じて、相互運用性の向上を図る。
・ 各国特有のニーズを満たすため、基本的な消防装備及び対応能力への即時のアクセスを改善する方法を探求する。
我々は、山火事から回復する強靱性を再構築するため、以下の取組を実施する:
・ 積極的な回復努力が必要な地域と自然による再生が最も効果的な地域を特定し、生物多様性を支えつつ自然を回復する措置を講じ、強靱性を強化してリスクを軽減するための自然を活用した解決策を展開する。
・ 強靱な都市設計、景観及びインフラ計画を通じて自然地と都市の境界を強化することを含め、山火事に強靱なインフラを再建する。
・ 生態系の回復を支援し拡大するための現地の状況を深く理解する研究を促進し、急速に変化する環境下を含む、山火事の防止及び緩和に資する持続可能な森林経営の最適な方法を探求し、ローカルの慣行、また機会がある場合には先住民の慣行を組み込み、女性の参加を拡大する、コミュニティを基盤とした、社会全体的なアプローチを用いる。
我々は、G20で進められている取組との相乗効果を追求する。関心のあるメンバーは、「国際連合グローバル火災管理ハブ」のようなフォーラムを通じて協働する。我々は、2030年までに世界的に森林減少と森林及び土地の劣化を阻止し、反転させるというコミットメントに沿って行動していく。
我々は共に、より強固かつより協調した世界的な山火事への強靱性アプローチを達成する。
我々は、豪州、インド、メキシコ、韓国、南アフリカの首脳によるカナナスキス山火事憲章への賛同を歓迎する。
(了)