データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 互恵的な国際パートナーシップに関する首脳宣言

[場所] エビアン,フランス
[年月日] 2026年6月16日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文] 

我々、G7首脳は、共通の繁栄の原動力として、開発及び投資金融における国際協力に対するコミットメントを再確認し、最も脆弱な層へ支援を供給することへの我々の意思を強調する。G7のパートナー国であるケニア及び大韓民国も、本宣言を支持する。我々は、国際開発金融アーキテクチャが、数十年にわたり最も脆弱な層を支えてきたことを認識する。持続可能な成長の促進、世界的な貧困の削減、外部的及び自然の衝撃に対する世界的な強靱性の強化が、共通の目標である。民間資金に加えて、ブレンデッド・ファイナンス、公正で透明な貸付及び譲許的な政府開発援助は、我々の相互の利益及び我々の既存の開発目標に沿って、パートナー国への支援及びグローバルな課題への対処において、引き続き戦略的役割を担っている。

しかしながら、我々は、将来世代のニーズや現在の課題に十分に対応できるよう、現行の国際開発システムをアップデートする必要があることを認識している。伝統的な開発政策は重要な成果を上げてきた一方で、対外援助への財政的依存の低減、各国のオーナーシップの強化、成長促進のインセンティブ創出に対する効果は時に限定的であった。開発の枠組みはまた、過度に複雑化し、資源の活用が最適化されていない結果となっている。過度なマクロ経済の不均衡、危機や紛争、根強い貧困及び債務脆弱性は資金需要を膨らませ、最も脆弱な人々に特に影響を及ぼしている。公的資金は、引き続き戦略的な役割を果たしているが、それだけでは世界の開発ニーズを満たすには不十分である。我々は、開発の枠組みを合理化し、その効率性と効果を確保するために、体系的な改革を促進する必要がある。

我々は、開発協力システムを改革し、我々及び我々のパートナーの戦略的利益を考慮しつつ、最も必要とされる分野における譲許的資金の戦略的かつ触媒的な活用を見据えた、互恵的なパートナーシップの構築に向けて結束している。我々は、アフリカ・フォワード・サミットで表明された、新たなアプローチに対するアフリカのパートナー国からの支持を歓迎する。開発と繁栄を促進する取組の成功は、パートナー国が国内資金を動員し、民間資金を誘致する能力にも依っている。我々は、パートナー国の自己資金調達能力を支援し、パートナー国の開発優先事項を尊重しながら、パートナー国のオーナーシップ、説明責任、長期的な経済的主権及び強靱性を強化することを目指す。我々は、全ての女性及び女児のエンパワーメントの達成、並びに彼女たちの全ての人権及び基本的自由の完全かつ平等な享受が、開発と経済成長の重要な原動力であることを強調する。

我々は、国内資金の動員の強化や税務行政能力の構築を通じたものを含め、パートナー国を引き続き支援する。我々は、2026年3月に東京で開催された会議において、税に関する協働のためのプラットフォームが国内資金動員に関する協力を強化するというコミットメントを表明したことを歓迎する。我々は、適切な場合には、パートナー国との共同投資を促進し、必要な制度改革に取り組むための積極的なインセンティブを生み出すプログラムを開発する。こうしたプログラムは、パートナー国が収入を増加させ、効果的に支出を行い、持続可能な借入を行うとともに、財政リスクを適切に管理することを支援するものである。

我々は、経済の安定を脅かし、不可欠な公共サービスを提供するための財政的余地を制約している、エスカレートする世界的な債務脆弱性に対処するための取組を強化する。我々は、共通枠組の適格性を満たさない脆弱な中所得国への債務再編について、共通のアプローチに向けて、G20において更なる進展を得ることの重要性を強調する。我々は、債務措置が、予測可能で、適時に、秩序立ち、かつ連携した方法で提供されることを確保するため、G20「共通枠組」の実施の強化を促進する。我々は、特にIMF・世界銀行の3本柱のアプローチの実施を加速させることにより、債務が持続可能で、強固な改革アジェンダを有するものの、高い債務返済に直面し、成長志向の投資がクラウド・アウトされている国々への支援の拡大を求める。我々はまた、特に全ての利害関係者間における債務データ及び貸付慣行の透明性向上を求めることにより、グローバルな債務アーキテクチャを強化する取組を継続する。この文脈において、我々は、全てのG20債権国に対し、世界銀行によるデータ共有の取組への参加を強く求める。我々は、借入国プラットフォームの立上げに留意し、これらの取組を推進するため、民間セクター及びパリクラブ内を含む全ての関係者との継続的な対話を期待する。

我々は、長期的な開発と大規模なインパクトに資金を供給するための民間資金のより効果的な動員を支援することを追求する。開発プロジェクトを民間投資家にとって魅力的なものにするため、我々は、開発金融機関を活用するとともに、国際開発金融機関に対し、リスク配分手段、保証、ブレンデッド・ファイナンス、共同融資メカニズム及び市場手段の活用を促進するとともに、為替リスクに対応するよう求める。我々は、特にアフリカ貿易・投資開発保険機構(ATIDI)等を通じた、デリスキングソリューションの利点と保証枠組みの強化を強調する。この点において、我々は、アフリカにおける成長を支え、健全な投資環境を促進しつつ、民間資金の動員を後押しする、多数国間投資保証機関(MIGA)を通じたものを含む、アフリカ開発銀行

及び世界銀行グループによる取組を歓迎する。我々は、G20アフリカとのコンパクトを通じたものを含む、パートナー国における健全な政策・規制環境を醸成するためのイニシアティブを支援し、投資障壁の撤廃を目指すとともに、標準化され、投資に適したプロジェクトを推進し、データの入手可能性及び透明性を強化する。

我々は、G7グローバル・インフラ投資パートナーシップ(PGII)を通じたものを含む、サプライチェーンの強靱性と多角化、強靱な輸送、エネルギー、デジタルインフラを、質の高いインフラ投資に関するG20原則に沿って、促進する。そのために、我々は、G7インフラ投資評議会を通じたものを含む、経済・開発回廊、民間資金のリスク軽減及び動員に対する新たなアプローチを促進する。我々はまた、共通の繁栄のための信頼性のある重要鉱物のバリューチェーンの重要性を認識し、高い基準、透明性及び現地の高付加価値化に基づく、サプライチェーンに沿った国際協力及び互恵的なパートナーシップを通じて、重要鉱物の高付加価値化が持つ経済的な潜在力を活用することを目指す。サプライチェーンの混乱を踏まえ、我々は、閣僚に対し、国際金融機関や国際機関の動きを見ながら連携し、肥料等の不可欠な生産資材へのアクセスが世界的に及ぼす影響を評価するとともに、世界の食料安全保障に取り組むために支援を必要とする国々への支援を調整するよう指示する。

我々は、最も必要とされる地域、特に後発開発途上国や最も脆弱な国々において、外部的及び自然の衝撃、地理的隔絶、資本市場へのアクセス制限、長引く又は継続中の紛争にさらされている国々の具体的なニーズに対処するため、譲許的資金を戦略的に活用する。非譲許的資本や民間資金へのアクセスが限られている国々においては、我々は、保健、教育、乳幼児期の発達、栄養、及び食料システムを含む人間開発の分野に投資を行う。適切な場合には、我々は、パートナー国による国家保健コンパクトや同様の国別プラットフォーム・アプローチの策定、採択及び実施を支援する用意がある。

我々はまた、公的開発銀行、開発金融機関、国際開発金融機関及び分野別多国間基金を含む全ての開発関係者との間の連携と協力を強化すること等によって、開発システムの分断に対処し、その効率性と有効性を向上させることを目指す。我々は、成功している融資の手段を活用することを優先し、適切な場合には、新たな融資の手段を既存のイニシアティブに組み込むことにより、新たな手段の創設を控える。我々は、開発主体としての国連システムの価値を認識し、UN80等を通じた改革を促進する。

国際開発金融機関の主要な出資国として、我々は、公的開発銀行との連携を含め、国際開発金融機関がシステムとして効果的に機能するよう確保することを目的とした改革を通じて、その有効性と影響力を高めるという我々のコミットメントを再確認する。特に、我々は、民間セクターの投資家や基金が、国際開発金融機関とともに、融資可能で大きな影響力を持つプロジェクトに資本を投入する機会を拡大するため、連携していく。

この変革のアジェンダを実現するには、G7の内外における持続的かつ共同のコミットメントが必要となる。我々は、国や地域レベルでパートナー国と共にこのアプローチを推進する取組を歓迎する。この点に関し、我々は、最近のアフリカ・フォワード・サミット、グローバル・パートナーシップ会議、マッテイ・アフリカ計画、アフリカ開発会議、及びグローバル・ゲートウェイイニシアティブ等に留意する。我々は、国際スタンダード及び共有された慣行に沿った、公正で透明な開発金融を促進するため、全てのステークホルダーと連携することの重要性を強調する。我々は、新興ドナー、民間セクター、慈善活動アクター及び市民社会を含む幅広いマルチアクター連合を動員し、この新たなアプローチに沿った取組を進めるよう努める。

本宣言は、パートナー国との有益な意見交換を踏まえ、G7加盟国間の協議の結果を反映するものである。