データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] より均衡ある、持続的で強靱な成長に関する首脳声明

[場所] エビアン,フランス
[年月日] 2026年6月17日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文] 

我々、G7首脳は、繁栄の共有を実現するため、経済成長、強靱性及び開発を前進させる多国間協力へのコミットメントを再確認する。この目的のため、我々は、世界経済のニーズ及びリスクに対処するとともに、国際的なパートナーとの関与を強化することを目指す。G7のパートナー国であるエジプト、インド、ケニア及び大韓民国も本声明を支持する。

世界経済

世界経済は、国際貿易・投資に影響を及ぼす既存のショック及び構造的な転換の長引く影響に既に直面する中、我々は、世界経済の不確実性が、成長に対するリスクを高めていることを認識する。エネルギー、農業生産資材及び肥料のサプライチェーンへの圧力が高まり、全ての地域、特に最も脆弱な国々の産業、農家及び家計に影響を及ぼしている。我々は、ホルムズ海峡における、いかなる形態の料金徴収もない、自由で安全な航行への速やかな復帰及び永続的な紛争解決が、これらの悪影響を緩和するとともに、均衡ある、持続的かつ強靱な世界の成長を支えるために不可欠であることを認識する。我々は、エネルギーへの低廉なアクセスの重要性を強調するとともに、適切に機能し、安定的で透明性のあるエネルギー及びその他商品市場へのコミットメントを再確認する。我々は、全ての国に対し、恣意的な輸出規制を取らないよう求め、安定した貿易の流れの重要性を強調する。我々は特に、現在の状況におけるエネルギー貿易の重要性を強調する。我々は、一時的で的を絞り、かつ財政的に責任あるものであるべき政策対応について協力する。

今後を見据えると、これらの動向は、多角的で信頼性のあるサプライチェーン及び効果的なエネルギーシステムを通じて我々の経済の強靱性を強化することの重要性を強調している。我々は、経済及び物価の安定を守る観点からも、サプライチェーン強靱化のため、国際エネルギー機関(IEA)等の関連国際機関を通じた連携、産出国及び消費国間の緊密な調整並びにアジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ(パワー・アジア)を通じたものを含む、影響を受けている国との協力の重要性を認識する。危機管理を強化し、危機の影響を緩和することでエネルギー市場の安定化に寄与し得るよう、我々は石油輸入国に対し、国際エネルギー機関(IEA)の90日分の備蓄要件に沿った、十分かつ効果的な石油備蓄制度を確立するとともに、景気循環増幅効果を回避するよう奨励する。我々はまた、G7の為替相場についての既存のコミットメントを再確認する。我々は、世界貿易機関(WTO)加盟国間で、WTOが現代の貿易の実態及び加盟国の利益に対応する能力を向上させる必要があるという認識が高まっていることに留意する。我々は、その意義のある改革を推進するための建設的な議論を求める。

我々は、経済安全保障と強靱性を支え、全ての国民のための利益を創出する均衡ある持続的な成長の実現に向けて協働していくことにコミットしている。我々は、恒常的な市場の歪曲、グローバルかつ構造的な過剰生産及びそれに起因する不均衡、世界、地域及び国内の市場への有害な波及効果、並びに経済的依の高まり等を含む、非市場的政策及び慣行(NMPPs)とそれらがもたらす負の影響について、共通の懸念を再確認する。我々は、強靱で信頼性のあるサプライチェーンが経済安全保障に不可欠であることを再確認する。我々は、過度な依存の低減、サプライチェーンの安全及び強靱性の向上並びに技術流出のリスクへの対処を目的として、重要技術を含む戦略的セクターに影響を及ぼす脆弱性を特定するため、意見交換を深め続ける。我々は、NMPPsの負の影響に対する認識を広げ、情報に基づく効果的な対応を支援するため、新興市場及び開発途上国を含むG7を超えた国々との関与の重要性を認識する。

我々は、国際通貨基金及び国際開発金融機関の取組を強化することを要請するとともに、危機への備え、緩和及び管理の重要性を強調する。我々はまた、国際通貨金融システムが引き続き強靱かつ効果的で、変化する世界経済によく適応することを確保することを含め、マクロ経済の安定を促進するよう努める。

フロンティア人工知能モデルの能力が急速に進展していることを踏まえ、我々は、我々の財務大臣及び中央銀行総裁に対し、金融監督当局、グローバルな金融機関及び情報技術企業の代表者と連携し、生産性及び労働市場に対する影響を考慮しつつ、金融セクターにおけるものを含め、人工知能から生じる新たな機会や潜在的なリスクについて更なる議論を行うよう求める。我々はまた、G7サイバー専門家グループに対し、フロンティア人工知能モデルを巡る最近の進展を踏まえ、適切に情報共有を強化し、ベスト・プラクティスを特定するよう求める。我々はまた、既存のG7グループにおいて、サイバーセキュリティ機関や関連機関との間の更なる対話を奨励する。我々は、G7中央銀行の量子技術作業部会(QTWG)の報告書に整合的な形で、量子技術に関連するリスクと機会に対する我々の金融システムの備えを支援する取組を継続するとともに、引き続き量子技術のサプライチェーンの確保にコミットする意図を有する。

グローバルな不均衡の縮小を通じた、均衡ある持続的な世界の成長の実現

我々は、グローバルな不均衡が、近年、持続、拡大していることで、均衡ある世界の成長及び金融の安定という我々の共通目標に対するリスクが生み出されていることに、懸念を持って留意する。カナナスキスにおける前回の会合以降、我々の財務大臣は、中央銀行総裁とともに、その要因及びそれが生み出すリスクを評価し、それらに対処するための選択肢を策定する作業を開始した。我々は、国際通貨基金(研究、政策提言及びサーベイランスを含む)、経済協力開発機構、G20及びフランス議長下でのG7学術専門家グループによる、拡大する持続的な不均衡の要因、主な寄与主体及びリスクに関する理解を深め、調整シナリオを提示するとともに、リバランスを促進するための政策提言を提供する取組を認識する。グローバルな不均衡は、特に最貧国に対して、そのほとんどの国が不均衡に寄与していないにもかかわらず、経済的な悪影響を及ぼし得る。我々はさらに、拡大する持続的なグローバルな不均衡を是正するための協調的行動の重要性を認識する。グローバルな不均衡を是正することは、より持続的かつ均衡ある成長の実現を促進し得る。

グローバルな経常収支不均衡は、主に、根底にある貯蓄投資バランスに起因している。非市場的政策及び慣行、セクター別の政策や財政政策などの国家の成長モデルもまた、グローバルな経常収支不均衡の要因となり得る。我々は、黒字国及び赤字国の双方に共通する関心事項である、大規模かつ持続的な不均衡に対処する必要性を確認する。こうした背景から、我々は、具体的な政策を通じて均衡ある成長及びマクロ経済の安定を促進することを目指すとともに、他国に対しても同様の目標を目指すことを奨励する。各国による適切な行動を通じたリバランスが遅れると、貿易を巡る緊張や、無秩序な解消を助長するおそれがある。この領域において、協調的な行動が歓迎される。

大規模かつ持続的な対外黒字国は、国内における成長の源泉を強化すべきである。こうした成長政策には、各国の状況に応じ、民間需要拡大の制約の緩和、社会的セーフティネットの改善、他国に負のスピルオーバーをもたらす歪曲的政策の回避、生産性向上の阻害要因の除去及び投資の増加などが含まれ得る。大規模かつ持続的な対外赤字国は、国内貯蓄と財政健全化の促進を含む政策に取り組むべきである。こうした行動は、均衡ある持続的な世界成長の実現に役立つ。

我々は、国際通貨基金の二国間及び多国間のサーベイランスの枠組みにおいて、将来を見据えたシナリオをより重視し、全ての経済圏、特に新興市場・開発途上国経済圏への影響を評価する形で、対外不均衡に関する現行のサーベイランスを一層強化することを求める。我々はまた、国際通貨基金及び経済協力開発機構に対し、それぞれの専門性に沿って、主要経済圏の国内政策動向のグローバルな不均衡への寄与に関するモニタリング及び報告の実施を求める。

我々は、2026年6月11日に開催された成長のためのグローバル収れんサミットを歓迎する。我々は、他の経済大国と共に、大規模かつ持続的なグローバルな不均衡の原因及びそれに対処する必要性について収れんさせることに関する我々の共通の利益を再確認する。我々は、米国の議長下のG20や他の関連フォーラムの中で取組を続けていく。

本声明は、パートナー国との有益な意見交換を踏まえ、G7加盟国間の協議の結果を反映するものである。