[文書名] 重要鉱物のサプライチェーン確保に関するG7首脳宣言
我々、G7首脳は、昨年策定した重要鉱物行動計画を想起し、我々のデジタル分野及びエネルギー分野を含め、我々の経済的繁栄及び安全保障にとって重要鉱物のバリューチェーンが果たす戦略的役割を認識する。高度に集中した市場構造、これらの資源にかかる脆弱性を低減する必要性及び恣意的な貿易制限の増加を踏まえ、我々は、サプライチェーンを多角化し、集団的な強靱性を構築する緊急性を想起する。オーストラリアと、G7のパートナー国も、本宣言を支持する。
我々は、重要鉱物及び関連するデュアルユース品に対する恣意的な輸出規制及び報復的措置を含む、経済安全保障及び経済的強靱性を損なう非市場的政策及び慣行の利用並びに経済的威圧について深刻な懸念を表明する。我々は、重大な依存関係を低減し、経済的依存関係を武器化する試み又は脅しが失敗に終わることを確保するため、パートナーと協働する。我々は、経済的威圧に対して、抑止を図り、必要な場合は、協調して行動を取る用意がある。
我々はさらに、重要技術を保護することにより、重要鉱物に関連するものを含む、中流及び下流産業の我々の競争力を維持及び強化することの重要性を認識し、技術管理に関する政策措置の調整のためにG7及びパートナーと協働することにコミットする。
我々は、世界経済の利益となる多様で強靱な耐久性のあるサプライチェーンを確保するため、質の高い基準と透明性に基づく相互に利益をもたらすパートナーシップを追求し、G7及び同志国間の国際協力が果たす中心的な役割を認識する。そのために、我々は、重要鉱物の基準に基づく市場を促進するためのG7ロードマップを再確認する。
産業協力
G7のこれまでのコミットメント及び2025年のG7カナダ議長国下で設立された重要鉱物生産アライアンスを踏まえ、我々は、現地での価値創出の支援及びイノベーションの促進等により、我々の重要鉱物のバリューチェーンの多角化に必要な加工及び産業能力を確立し、発展させるため、G7及びパートナー国との取組を調整することにコミットする。
このため、我々は、パートナー国と共に、サプライチェーン全体にわたる生産、加工及びリサイクルプロジェクトを推進するために緊密に協力する。我々は、需要の集約を通じた協調的なプロジェクトの開発及び官民の共同の資金調達能力の動員を促進する。これにより、我々は、レアアース及び永久磁石について、G7及びパートナー国以外の単一供給国に対する我々の依存度を2030年までに60%未満に大幅に低減するとともに、可能な限り早期に50%を達成するという野心をもってその後も継続的に低減することを目指す。その他の重要鉱物については、我々は、関係閣僚に対し、これらの依存度を低減するための具体的な目標を年内に設定するよう指示する。
我々は、これらの目標に向けて、特に、G7及びパートナー国による重要鉱物のバリューチェーンへの出資参画及びオフテイク契約を含む640億ユーロの投資に至った、2026年初頭以降に発表された195件のプロジェクトを通じた進展、並びにレアアース及び永久磁石の産業能力向上に向けた共同計画を通じた進展を歓迎する。
資金調達
我々は、多角化に必要な加工及びリサイクルを含む産業能力の向上には、出資、債務保証及びオフテイクを含む官民の資金動員が必要であることを認識する。我々は、安定した投資環境並びに供給の安全性に対する市場の透明性及び適切な価値評価の必要性が高まっていることを認識する。これにより、2030年までの投資ギャップを埋めるべく、重要鉱物のバリューチェーンへの資金供給を促進することができる。
我々は、国際開発金融機関(MDBs)及び開発パートナーの動員を加速させ、G7加盟国及び志を同じくするパートナー間、途上国において、世界の鉱業基準を引き上げる戦略を策定及び実施することを奨励する。これらの取組は、品質重視の調達アプローチ及び持続可能な採掘慣行を通じたものを含め、世界の重要鉱物のサプライチェーンの多様化、強靱性、安全性及び信頼性を向上する。これらは、国際パートナーシップに対する我々の新たなアプローチを体現する。より大きな効果を確保するため、我々は、G7開発金融機関(DFIs)及び輸出信用機関に対し、民間セクターを含め、重要鉱物及び周辺インフラに関する連携及び協力を強化するよう要請する。
市場構造化
我々はさらに、多角化された供給能力の長期的な有効性を確保するためには、適切な市場環境及び複数国間の貿易協定を通じたものを含む、信頼できるパートナーとのより緊密な協力が必要であることを認識する。
この観点から、我々は、サプライチェーンの強靱性及び多角化を確保するために必要となる政策及びメカニズムの実現可能性及び策定について、関連する場合には、調整された態様で、引き続き議論する意図を有する。これらの政策及びメカニズムには、適切な場合には、強靱性に関する基準、基準に基づくアプローチ並びに透明性及びトレーサビリティを確保するための仕組みが含まれ得る。我々はまた、多角化要件、値差補助金を含む収益安定化措置、共同調達の枠組み、並びに関税割当及びプライスフロア等の貿易関連措置といった需要側及び供給側の措置を引き続き追求する。これらの措置は、その有効性、及び、競争力、財政、マクロ経済状況全般、特に中流及び下流産業へのあり得べき影響並びに何も対策を講じないことによるコストといった要素を考慮すべきである。
透明性及びトレーサビリティ
我々は、安定的な市場環境の下でサプライチェーンの安全性及び高い基準の遵守を確保するとともに、重要鉱物の違法な取引に対処するために、透明性及びトレーサビリティに係る強固な枠組みが重要であることを認識する。我々は、経済協力開発機構(OECD)及び国際エネルギー機関(IEA)による進行中の取組を踏まえつつ、重要鉱物の原産地に関するトレーサビリティ及び透明性を確保するという我々の利益に沿った、調和のとれた、相互運用可能なメカニズムの確立に向けて取り組むことにコミットしている。これは、リチウム及びニッケルの2つの重要鉱物を対象として試験的に開始され、競争力の毀損や過度なコスト負担の回避を目指している。我々は、レアアースに特に留意しつつ、毎年5つの新たな重要鉱物へとパイロット事業を拡大することを追求する。
我々は、共通の分析ツール、市場指標、価格、供給、需要及び処理能力に関する可視性の開発、自発的かつ機密性を確保した形での情報共有及び公表を通じたものを含め、世界の原材料市場及びサプライチェーンに関する知見と透明性向上に取り組む。我々は、この取組を支える上でデータが不可欠な役割を果たすことを認識する。我々は、これらの目標を達成するため、OECD及びIEAの重要鉱物安全保障プログラムにおける既存の取組や能力を集結し、企業との構造化された対話を含め、以下のプラットフォームを通じて協働することにコミットする。
我々は、2026年6月に採択された「重要鉱物の採掘における強制労働リスクの特定に関する基準ベースの評価基準(G7ツールキット)」に従い、国際的に認められた労働基準に取組を整合させ、強制労働の体系的なリスクに対処するための協調的な行動を奨励することにより、重要鉱物の採掘における公平な競争条件の促進を追求する。
備蓄
我々は、備蓄が安定供給確保及び市場の安定性を向上させる上で果たし得る不可欠な役割を認識する。我々は、各国の経済、貿易並びに国家及び集団の安全保障にとって適切である場合、既存のイニシアティブを通じたものも含め、産業部門又は公共部門における重要鉱物の国内備蓄能力の開発及び増強に取り組むことにコミットする。我々は、特にIEAの重要鉱物安全保障プログラムを通じて、及び独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)等の関連機関の専門的知見及びイニシアティブを活用することにより、備蓄制度、ベスト・プラクティス及び方法論並びに調達及び放出メカニズムに関する情報を交換することで一致している。我々は、パートナー国及び新興国におけるものも含め、重要鉱物のサプライチェーン多角化を支援するために、備蓄制度を活用する意図を有する。
我々は、供給途絶の予測及び対応を促進し、価格の不安定化を防ぐため、IEA及びそのデータ基盤の支援のもと、共同協力メカニズムを設立することにコミットする。このメカニズムにより、将来の市場の逼迫もしくは需要又は供給における混乱に関するデータ及び警戒情報を、必要に応じて、G7加盟国及び同志国と共有することが可能となる。
リサイクル
我々は、循環経済及び代替材料の利用は、環境に対する影響への緩和に貢献しつつ、重要鉱物の需要増大に対処し、その供給を確保するために不可欠であると確信し、重要鉱物を多く含む製品及び部品の効率的な設計、再使用、修理及び再製造を促進する重要性を認識する。我々は、リサイクルされた重要鉱物の供給及び需要の両方を支援することにより重要鉱物のリサイクルを推進し、再生材含有率要件等の経済的及び規制的インセンティブを活用し、効率的で競争力のある二次原材料市場を構築することに取り組む。
我々はさらに、鉱山廃棄物及び尾鉱の再処理等の代替的及び二次的な供給源からの回収を促進し、残留する重要鉱物及び関連する副産物の有効活用を図る。その際、信頼できるパートナー国間におけるリサイクル資源の取引の有用性及びリサイクル強化に資する技術イノベーションの重要性を認識する。我々は、クリティカルマテリアル・ミネラル会合を通じたイノベーションに関する継続的な連携を求める。我々は、重要原材料を含む有価値製品及び使用済み製品の流出を避け、重要鉱物を多く含む廃棄物の違法な移転への対処を強化するため、トレーサビリティの向上並びに関連法規及び国際枠組みの執行強化により、G7における回収及びリサイクル能力の拡大及び高度化を追求する。我々は、デジタルトレーサビリティ及び製造製品に対する拡大生産者責任制度が、重要鉱物における循環経済の構築というこれらの目標達成を支援する有効な手段であることを認識する。我々はまた、新興市場及び途上国が、鉱業廃棄物のリサイクル及び二次加工を通じた付加価値の創出並びに循環経済イノベーションから恩恵を受ける機会も認識する。
我々は、進捗状況の監視及び評価に対するコミットメントをもって、重要原材料のリサイクル率を大幅に引き上げることを目指す。選定された重要鉱物又はその派生物について、年内にリサイクル目標を設定するよう取り組む。我々は、2030年末までに、G7加盟国の年間消費量の相当部分を生産できるよう、我々の共同のリサイクル能力を増強することを目指す。
重要鉱物強靱性及び生産アライアンス
我々は、これらの目標を達成し、我々の取組の長期的な連携を確保するため、「G7重要鉱物強靱性及び生産アライアンス」を設立する。その規約は本宣言の附属書に記載される。本イニシアティブは、既存の重要鉱物生産アライアンスを基礎とし、参加国の承認を条件として、同志国に対して開かれたものとする。本アライアンスは、重要鉱物のバリューチェーンの多角化及び強靱性の強化並びに既存の重要原材料関連イニシアティブの合理化を図るため、G7及びパートナー国間における包括的な協力のプラットフォームを提供する。
「G7重要鉱物強靱性及び生産アライアンス」の実施を支援するため、G7及びその他のプラットフォームのメンバーの下で運営される重要鉱物に関する協力のためのG7プラットフォームが、議論を促進し、データ主導の意思決定を支援するとともに、メンバー間の連携を促進する。本プラットフォームは、市場の動向及びサプライチェーンの脆弱性に関する分析的かつデータ主導の評価を提供し、備蓄に関する情報共有を促進し、緊急事態対応演習を実施し、並びに資金調達、多角化及び透明性に関するコミットメントの進捗状況を監視するため、適切と考えられる場合、IEA重要鉱物安全保障プログラム及びOECDと協議を行う。我々は、IEA及びOECDに対し、その専門知識に沿ってデータを提供し、メンバーが市場の歪曲を特定し、早期警報を受け、協調的な対応を計画できるようにすることを要請する。
本宣言は、パートナー国との有益な意見交換を踏まえ、G7加盟国間の協議の結果を反映するものである。