データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 青少年のためのより安全なデジタル空間に関する首脳による呼びかけ

[場所] エビアン,フランス
[年月日] 2026年6月17日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文] 

我々、G7の首脳は、児童と18歳以下の若者を含む青少年の発達、教育及び福祉のために、安全なデジタル空間を提供することにコミットしている。児童と若者のオンライン体験は、安全で、充実感があり、成長に重点を置いたものであるべきである。デジタルサービス提供者は、デフォルト設定を含め、セーフティ・バイ・デザイン(設計段階からの安全性確保)で、安全で、プライバシーが保護され、年齢に適切、かつ児童と若者を保護するデジタルプラットフォームを提供するという重要な役割と機会を担っている。親、保護者及び養育者は、ペアレンタルコントロールツールを通じたものを含む、青少年のオンライン体験を導くことができるよう能力強化を支援されるべきである。G7のパートナー国であるエジプト、ケニア及び大韓民国も、この呼びかけを支持する。

デジタル技術は、学習、教育及び医療のアクセス拡大、創造性や社会的つながりの促進を通じて、我々の児童と若者及び社会と経済にとって前向きな役割を果たすことができる。保護者、教育関係者及び教育システムは、彼らがデジタル技術、メディア及び情報と批判的かつ責任を持って関与するのに必要なスキルとリテラシーを身につけられるよう支援し、能力を育成すべきである。デジタル教育プログラムは、オフラインの教育的及び社会的活動を補完する。

これらの恩恵があるにもかかわらず、デジタルサービスは児童と若者にリスクをもたらし得る。彼らは、違法であり年齢に不適切なコンテンツ及び精神的健康や福祉を損なう交流にさらされるおそれがある。注意や関与を最大化する機能を組み込んだ特定のデジタルサービスの利用は、依存的で習慣化しやすい行動及びその他のリスクにつながり、懸念が示されている。

レコメンデーションシステムは、利用される場合、年齢に適切なコンテンツを優先し、リスクへの露出を減らすように設計されるべきである。デジタルサービスは、ペアレンタルコントロールツールを含む、保護的かつデフォルト設定等のセーフティ・バイ・デザイン(設計段階からの安全性確保)を通じて、親と青少年が自身の体験やデータをより適切に管理できるよう能力を強化するツールとして設計されるべきである。青少年の安全はリスク管理、評価及び軽減の実施により、保護が確保される。

したがって、我々は、全ての政府、デジタルサービス提供者、該当する場合には公的機関及び関連するステークホルダーに対し、児童と若者の身体的及び精神的健康、プライバシー並びにオンライン上の安全の保護を優先するよう求める。

我々は、デジタルサービス提供者に対し、各管轄、各国の事情及び適用される法的枠組みに従い、ユーザーのプライバシーを保護しつつ、効果的かつ革新的な年齢確認メカニズムを通じたものを含め、安全で、安心かつ年齢に適切な体験を保証する技術やシステムを開発し、適用するよう求める。我々は、包括的な、リスクに基づいたアプローチを支持するとともに、有意義かつ使いやすいペアレンタルコントロールツールや情報を通じて、親や保護者の能力強化を支援する。我々は、我々の閣僚によって採択されたG7共通原則を歓迎し、更なる行動を呼びかける。この点に関し、我々は、全ての関連ツールを活用して、児童や若者がオンライン上で安全かつ年齢に適切な体験ができるよう取り組む。

我々は、対話型人工知能ツールがイノベーション、教育及び発展にとって重要な機会を提供する一方で、児童と若者による対話型人工知能システムの利用にともなうリスクを認識しており、それが彼らの福祉や安全を損ない、デジタル空間において責任を持って関与するための批判的思考能力を養う必要性を強めている。サービス提供者は、ペアレンタルコントロールツールや年齢確認ソリューションを含む、児童と若者向けのデフォルトの安全設定を開発及び適用し、対話型人工知能ツールを児童と若者にとってより安全なものにするよう、適時に取り組むことが重要である。

児童と若者が、本物と合成コンテンツを継ぎ目なく見分け、コンテンツの出所を特定できるよう助けることの重要性に鑑み、我々は、産業界による技術的手段の信頼性、実現可能な範囲での相互運用性、有効性及び堅牢性を強化するための継続的な取組を支持する。デジタルサービス提供者は、コンテンツの出所の理解を可能にし、デジタル技術、メディア、情報に関与するためのデジタルリテラシーと意識を促進する上で重要な役割を担う。我々は、コンテンツの透明性への取組が引き続き模索される中、G7加盟国の政府、公的機関及びデジタルサービス提供者の間の継続的な対話を奨励する。

我々は、各国の状況や法的枠組みに従い、児童の性的虐待に係る記録の生成、操作及び頒布並びに特に児童と若者が関与したディープフェイクを含む本人の同意を得ていない性的な影像に関連する犯罪活動を禁止することに、引き続き強くコミットしている。これらの犯罪行為の必要な予防に資するため、デジタルサービス提供者は、自社のプラットフォーム上で効果的な検出及び削除措置を実施しなければならない。このようなコンテンツ並びにオンライン・グルーミング、性的搾取及び性的脅迫の禁止は、人工知能システム及びデジタルサービスの開発・導入において、譲れない原則であり続ける。本人の同意を得ていない性的な影像や性的なコンテンツを含むこれらの危害の一部は、少女や若年女性に不均衡な影響を及ぼし、少年や若年男性にも影響を及ぼすとともに、自傷行為を助長する可能性がある。

我々は、児童と若者がオンライン上で暴力的な過激主義及びテロリズムにさらされることを防止し、対抗することにコミットしている。デジタルサービス提供者は、児童及び若者を標的とする行為並びに特に薬物取引や暴力的な過激主義を含む組織犯罪への勧誘を減らすために、適切な保護措置を講じ、法執行に協力すべきである。この目的のために、親、保護者及び養育者は、これらの現象を防止するために能力強化を支援されるべきである。

我々は、研究者、教育システム及びデジタルサービス提供者を含む幅広い関係者を結集し、デジタルサービスと人工知能が児童と若者に与える機会と影響に取り組むことで、協調的かつ効果的な取組を生み出すためのベスト・プラクティスを共有することの利益を認識している。我々は、それらの利益と課題を研究できる研究・科学のエコシステムを育成することにコミットしている。科学的知見の進展とエビデンスに基づく政策立案は、青少年の安全への影響を客観的に評価するため、人工知能モデルやアルゴリズム・システムのリスク評価に関するデータの共有、公平な評価及び共通基準から恩恵を受ける。エビデンスに基づくアプローチを支えるためには、透明性及び説明責任が不可欠である。我々は、この研究及び評価を支援するため、関係するステークホルダーと協力する。我々は、我々の閣僚により採択された、青少年にとってより安全でより安心なデジタル空間を定義するG7共通原則を歓迎し、彼らに対し、定期的に会合を開き、遅くとも本年末までに本取組の進捗状況を評価するよう依頼する。

本呼びかけは、パートナー国との有益な意見交換を踏まえ、G7加盟国間の協議の結果を反映するものである。