[文書名] 薬物取引との闘いに関する首脳宣言
我々、G7首脳は、薬物取引との闘いを強化することにコミットしている。G7のパートナー国であるブラジル及び大韓民国も、本宣言を支持する。世界的な薬物取引は、過去最高水準の生産量、組織犯罪集団の適応力及び世界的な需要の増加により、近年著しく拡大している。これは、腐敗及び暴力を助長し、国家の安全に対する主要かつ増大する脅威となっている。
我々は、この国際的な組織犯罪に対処することが、我々の社会、国民の健康及び経済的繁栄並びに世界の安全を守るための基礎であると認識する。これらの高度な違法ネットワークには国境がない。それらは国際的な脆弱性を悪用し、我々の経済から不可欠な資源を吸い上げ、自由な社会が依っている民主的な制度を弱体化させる。この脅威に対処するための各国の取組を支援するには、国際協力が鍵となる。
我々は、我々の共通の価値、規範及び基準に整合的な形で、薬物の供給及び需要の削減を含む、エビデンスに基づいた政府全体のアプローチにより、薬物取引ネットワークを崩壊させるための共同かつ野心的な解決策を講じるとの我々の決意を再確認する。我々は、包括的なアプローチの下、あらゆる組織犯罪集団を防止し、捜査し、起訴するための協調行動を拡大し、我々のシステムの強靱性を強化することにコミットしている。その点に関し、我々は、金融活動作業部会の基準に沿って、金融犯罪を防止し、執行及び財産回復の成果を向上させるため、世界的なマネー・ローンダリング対策の枠組みを強化し続ける必要性を強調する。
我々は、以下の行動をとることにコミットしている。
・ 薬物取引と闘うための海洋安全保障及び港湾の安全の強化
我々は、海運が世界的な薬物及び前駆化学物質の取引における主要な経路であることを認識する。カナダ議長国の期間中に達成された進展を基礎に、我々は、違法薬物の輸送をより多く摘発し、薬物取引及び前駆物質の流通に対する港湾及び世界全体のサプライチェーンの強靱性を更に強化するため、海洋協力の強化に向けた取組を強化することにコミットする。
そのために、我々は、欧州港湾同盟、欧州薬物対策連合及び同様のイニシアティブと連携し、G7メンバー及びパートナー国の主要港湾間の協力を強化するため、薬物取引と闘うためのG7+港湾ネットワークを創設する。このG7+イニシアティブは、国際海事機関の国際航海船舶及び国際港湾施設の保安等の国際規制やG7のイニシアティブを基礎として、港湾当局や法執行機関へのあり得べき合同現地視察を通じたものも含め、より良い調整、情報の共有及びベスト・プラクティスの実施を目指すものである。この目的のため、我々は、港湾における薬物及び前駆化学物質の取引への対抗に関するG7イニシアティブ及びベスト・プラクティスのインベントリーを作成する。
我々は、関係閣僚に対し、2026年11月までに本ネットワークを実施するとともに、民間セクターとの協力拡大並びに港湾及び海運の保安基準の強化に特に焦点を当てて、薬物及び前駆化学物質の取引に対する港湾の安全を更に強化するよう指示する。
・ 犯罪ネットワークによる正当な官民機関への浸透への対抗
国際的な薬物取引の促進のために犯罪ネットワークが正当な官民機関に浸透することは、我々の社会にとって現実的な脅威となっている。これは、国際的な組織犯罪集団がしばしば用いる経済モデルの中心的な要素になりつつある。
我々は、犯罪ネットワークによる正当な官民機関への浸透を図るいかなる試みに対しても断固として対抗することにコミットしている。我々は、関係閣僚に対し、2026年11月までに、薬物取引ネットワーク及び組織犯罪集団による正当な官民機関への浸透に対抗するための包括的なG7行動計画を策定するよう指示する。
・ 薬物の生産及び輸送と闘うための国際及び地域のパートナーへの支援
我々は、薬物の使用、生産及び取引に対処するための共同のアプローチを強化するために、国際及び地域のパートナーと協働していくことにコミットする。これには、準備態勢及びエビデンスに基づいた対応に貢献するため、国家薬物監視機関又は同様の機関並びに薬物消費及び取引に関する早期警戒システムの設立又は強化をパートナーと協力して行うことが含まれる。
我々は、薬物の生産及び輸送に対抗しなければならないことを認識し、マルティニークにおけるカリブ海地域安全保障会議の開催を歓迎する。我々は、参加者が薬物取引及び武器取引ネットワークを崩壊させ、解体させるための具体的かつ野心的な執行行動をとるよう奨励する。
我々は、国際刑事警察機構、国連薬物・犯罪事務所、国際麻薬統制委員会、国連麻薬委員会及び欧州薬物対策連合を含む、世界的な麻薬対策を更に強化するための関連する多国間機関及びプロセスを支援する。
・ 我々のコミュニティにおける薬物使用の需要を減少させ影響を最小化するための政策措置の強化
我々は、薬物使用の需要を減少させ、公衆衛生及び社会への悪影響を最小化するためのあらゆる努力を惜しまない。我々は、予防、治療、リスク低減及び回復のための啓発及び保健措置を含む包括的なアプローチを採用することでこれを実現する。我々は、新たな薬物の脅威に関する啓発と知見共有を強化し、効果的な法執行及び公衆衛生上の対応を支援し、特に影響を受けやすい人々に焦点を当て、国家薬物監視機関又は同様の機関並びに新たな物質及び消費パターンに関する早期警戒メカニズムを強化する。
・ 薬物取引に関連するその他の形態の国際的な組織犯罪及び不正な資金の流れへの対処
我々は、薬物取引ネットワークが、人身取引を含むその他の形態の国境を越える組織犯罪並びに詐欺、腐敗、マネー・ローンダリング、テロ資金供与及び関連する不正な資金の流れを引き起こし、そこから利益を得ていることを認識する。これらの犯罪ネットワークはまた、違法・無報告・無規制(IUU)漁業を含む環境に影響を与える犯罪からもしばしば利益を得ている。
我々は、暗号資産を含む関連の収益及び資産を追跡し、凍結し、押収し、没収するための金融捜査を強化することにより、これらの違法活動を可能にする経済的インフラを破壊することにコミットする。資金の流れを追うアプローチは、各国の法執行機関、司法当局及び金融情報機関の間の強固かつ安全な情報交換に支えられ、体系的に適用されなければならない。我々は、G7金融犯罪に対する行動要請に沿って、不正資金を抑制するための共同の行動を強化する。
本宣言は、パートナー国との有益な意見交換を踏まえ、G7加盟国間の協議の結果を反映するものである。