データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第3回アフリカ開発会議における森議長による閉会宣言

[場所] 東京
[年月日] 2003年10月1日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

御列席の皆様

 第3回アフリカ開発会議の閉会にあたり一言申し上げたいと思います。

 今般、アフリカ諸国、開発パートナー諸国、国際機関、市民社会の代表が東京に参集し、3日間にわたりアフリカの世界経済への統合について、真剣な意見が交わされたことは誠に有意義でありました。今回の会議で示された意見は、何れもアフリカ開発に真剣に取り組んでおられる皆様の経験と英知に立脚したものでありました。

 新世紀に入り、世界が様々な脅威への対応を求められる中、TICAD IIIでは、アフリカ問題の解決が世界全体の安定と繁栄にとり不可欠であるとの認識が一層高まっていることが確認されました。

 また、小泉総理が基調演説で表明された日本の対アフリカ支援方針をはじめ、アジア、欧米諸国、国際機関など開発パートナーよりアフリカ支援の具体策やNEPAD支援への力強い決意が表明されました。

 これに対し、アフリカ諸国を中心に、政治的・経済的ガバナンスの改善策を含め、率直な自己反省に基づいたアフリカ再生への意欲的かつ具体的な取り組みについて議論が展開されました。このような意見交換は、アフリカ開発に対する国際社会の知恵と経験を結集するという本会合の目的において、大きな成果であったと思います。

 また、採択されたTICAD10周年宣言にあるとおり、10年にわたるTICADによる貢献の意義が確認され、TICADがNEPADに対する国際社会の支援を結集するためのプラットフォームとなることへの期待が表明されました。これに対し、共催者はTICADをより組織化された形で継続し、パートナーを一層拡大していくことにコミットし、それによって、NEPADによるアフリカ再生の取り組みを支えて行くための道筋が示されました。

 以上のとおり、世界最大級のアフリカ開発会議となったTICAD IIIは、当初目指した目的を果たし、成功裏に全ての議事を終了しました。議長として、ここに閉会を宣言いたします。

御列席の皆様

 私は冒頭の開会宣言において、人間に対する脅威から全ての人々を解放し、21世紀を世界の人々にとり輝かしい時代にしなければならないとの私の思いを申し上げました。アフリカには、そのための「心」があります。アフリカには、人間であるがゆえに自然に他人を思いやる心、一杯の水を見知らぬ旅人に分かち合い、他人の子を育てようとする「人間愛」があります。自らの自由に甘んずることなく、他人の自由を尊重し、支えながら生きようとする懐の深さがあります。私は、こうした「アフリカの心」こそが、小泉総理の述べられた「より良い世界を築くためのアフリカの風」を巻き起こす原動力であると確信します。

 最後になりましたが、今回の皆様の訪日が良き思い出となり、恙なく帰国の途につかれることをお祈り致します。これにて会議は終了致しますが、アフリカと世界の明日に向けてTICADの新たな挑戦が今スタートしたのだと実感します。

 ご清聴ありがとうございました。

以上