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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] TICADアジア・アフリカ貿易投資会議における小泉総理開会スピーチ

[場所] 東京(赤坂プリンスホテル)
[年月日] 2004年11月1日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳
[全文]

オバサンジョ・ナイジェリア大統領閣下

キバキ・ケニア大統領閣下

アフリカ及びアジアからご出席の皆様

 「TICADアジア・アフリカ貿易投資会議」にご参加の皆様を歓迎申し上げます。昨年のTICAD IIIにおいて、私は「アフリカの風が東京に吹いている」と申し上げました。本日、その風に乗り、アフリカ、アジアの友が一緒に東京に戻ってきたことを大変喜ばしく思います。

 TICADは、着実にアジア・アフリカ協力を推進してきました。過去半世紀の間にアジアは、『東アジアの奇跡』と呼ばれる他に例を見ない経済成長を達成しました。実は、これは「奇跡」ではなく、アジアの人々の不断の「努力」の成果です。アジア・アフリカ協力の意義は、このようなアジアの経験をアフリカと共有し、アフリカの開発に役立てることです。

 貿易・投資は本来民間の活動です。同時に、貿易・投資の果実を経済成長と貧困削減につなげるためには、政府の役割が必要不可欠です。これは日本を含むアジアの経験に照らしても明らかです。今回の会議において我が国は、アフリカの開発のために貿易・投資を促進するべく、4つの鍵となるコンセプトを打ち出します。1つ目は、産業基盤整備のための「適切な政策」、2つ目は、競争力を高めるための品質向上に着目した「商品開発」、3つ目は地域社会における収入増大・雇用創出につながる「地場中小企業の振興」、そして4つ目は、公正な成長を促すための「民間企業の社会貢献の促進」、という考え方であります。日本は、これらのコンセプトに沿った努力を行うアフリカ諸国を支援します。

 アフリカは国際社会の不可欠なメンバーであります。アフリカ問題の解決なくして世界の安定と繁栄はありません。また、国際社会が直面する国連の改革や強化の必要性といった課題に応える上でも、アフリカの参加が極めて重要です。

 アフリカは、アフリカ連合(AU)とNEPADをさらなる開発への原動力として、自らの力で立ち、大きな一歩を進めようとしています。TICADの現在の最も重要な役割は、アフリカとアジアの間の協力に関するアイディアを一カ所に集めることです。また、TICADは官民の様々な交流も促進します。アフリカのダイナミズムに応えていくため、TICADは今後も更に進化を続け、アフリカと共に前進していきます。今回の会議がアジア・アフリカ間の豊かな貿易・投資を促進する一助となり、TICADプロセスを輝かしい未来に向けてさらに前進させていくことを確信しています。

有り難うございました。