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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] TICAD閣僚会合(2017年8月24-25日) 全体会合1「TICADVI以降のTICADプロセスの進捗状況の概観」共同議長総括

[場所] 
[年月日] 2017年8月25日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

全体会合1は,「TICADVI以降のTICADプロセスの進展の概観」というテーマで行われた。

アブドゥラエ・マー・ディエエUNDP総裁補兼アフリカ局長による冒頭発言は,アフリカの持続可能な開発にとってのTICADV及びTICADVIの宣言の継続的な重要性を強調した。ディエエ総裁補兼アフリカ局長は,アフリカのアジェンダ2063及び持続可能な開発目標(SDGs)に沿って,国際社会に対しアフリカに対する支援を強化し,経済構造改革,強靱性の向上並びに平和及び安定を含む,TICADVIで特定された優先事項に取り組むためにアフリカと協力するよう求めた。

TICADV及びVIによる提言及び優先事項の継続的な重要性が参加者によって確認された。参加者はまた,TICADプロセスの着実な進展とTICADパートナーによる多岐にわたる措置の実施を歓迎し,TICADの優先事項を支援するため,措置の実施の迅速化及びパートナーシップの促進を求めた。参加者はまた,とりわけ首脳会合の短縮化されたサイクルと主要な関係者の拡大に鑑み,TICADフォローアップ・メカニズムの効果及び効率を更に高めるためTICAD共催者と共に取り組む用意があることを示した。

持続可能な開発の確保における民間部門の役割の高まる重要性を認識し,また,人的資源に対する投資の増加の必要性を考慮し,多くの参加者は,アフリカ及びその国際社会のパートナーとの間の民間部門連携を強化することを希望する旨強調した。この関連で,2018年にアフリカで開催予定である,初めての日アフリカ官民経済フォーラムに対する高い期待を表明した。

参加者は,各国政府による改革の取組はアフリカにおける民間投資の開放に不可欠であることを指摘し,この点に関し,経済改革及び多様化に向けた取組を歓迎した。議論では,構造改革,質の高いインフラ,農業生産性,低価格製造,ビジネスのための安定した法制度,環境保全,付加価値強化及び民間部門の資金調達を含む中小企業支援といった複数の政策的優先事項が明らかになった。

複数の参加者は,進捗を歓迎する一方,テロリズム行為,暴力的過激主義の拡大,気候変動,感染症及び貧困を含む人間の安全保障に対する挑戦について懸念を表明した。これらの問題は緊急であり,かつ,社会の安定に直結しているため,全ての関係者に対し取組を強化するよう求めた。

日本の河野太郎外務大臣は,総括発言の中で,TICADV及びVIで発表された日本のコミットメントの着実な実施について報告した。河野大臣は,自立的発展のためのアフリカの取組を歓迎し,アフリカのオーナーシップを支援するとの日本のコミットメントを新たにした。

河野大臣は,南南協力及び三角協力のいくつかの成功例を強調しつつ,TICADの全ての関係者に対しTICADVIで特定された優先分野における取組を加速させ,それぞれの活動の効率を高めるためにパートナーシップを更に拡大するよう奨励した。河野大臣はまた,日本とアフリカの間のビジネスパートナーシップの更なる連携に期待する旨述べた。

本セッションは,TICADプロセスの継続的な強化及びTICAD7(2019年,於:横浜)に向けたそれぞれの作業の加速に対するアフリカ諸国,日本,及びその他の開発パートナーのコミットメントを新たにした。