[文書名] アフリカ開発会議(TICAD)閣僚会合(河野外務大臣全体会合1スピーチ仮訳)
<冒頭>
・全ての参加者に対し,TICAD V 横浜宣言及びその行動計画の6つの優先分野,並びにTICAD V I ナイロビ宣言及びその実施計画の3つの柱に盛り込まれた政策の着実な実施に向けた力強い継続的な取組に,深く感謝。皆様の前にある2つの報告書は,過去1年の進捗を示すものであり,アフリカ及び国際的な取組,並びに日本の取組にそれぞれ焦点を当てている。
<日本の進捗>
・第1に,日本がTICAD V 及びVIで表明したコミットメントの実施にどのように取り組んできているかについて説明させていただく。
・TICAD V では,日本は,アフリカの成長のため,官民の取組を2013年から2017年までの間で140億ドルのODAを含む最大320億ドル規模に拡大する支援パッケージを発表。TICAD V I では,2016年から2018年までの間で官民連携による総額約300億ドルの投資を行うことにコミット。
・本日,日本が2016年以降,約50億ドルを拠出し,2013年から2016年までの支援総額が267億ドルに達したことをお伝えしたい。そのような貢献がアフリカの成長のための経済改革を推し進め,人間の安全保障及び強靱な社会の実現を促進したと確信。
<マルチの関係者による取組>
・第2に,アフリカの開発のための国際的なパートナーシップに関する私の考え及びその進捗状況を共有した
い。
・日本の強固な信念は,現在12億人を擁し,その経済は,世界平均を上回るペースで成長するアフリカの自立的成長と平和なくして,世界の平和と安定はないということである。よって,国際社会全体がアフリカの開発に関与していかねばならない。
・TICADには,創設以来,パートナーシップとオーナーシップの原則の下,アフリカ以外の国,国際及び地域機関,民間部門,市民社会を含む様々なアクターが関与。
<多国間協力の例>
・アフリカ開発のために進められている三角協力のグッドプラクティスを紹介したい。
(1)日仏両政府は,「アフリカにおける持続可能な開発,保健及び安全のための日仏計画」を着実に実施し,コートジボワール政府,フランス開発庁及びJICAの間での持続可能な都市の分野における協力覚書(MOU)に署名。
(2)日英両政府は,アンゴラの地雷除去プログラムに関するNGOの活動に共同支援。
(3)昨年,日印両首脳は,アフリカにおける人材育成,保健,インフラ,連結性の分野における取組に相乗効果をもたらすための協力と連携の強化で一致。
・これらは,アフリカの開発のために日本が取り組んできた国際的なパートナーシップの強化のわずか一例。
<アフリカのオーナーシップ>
・言うまでもなく,アフリカのオーナーシップは,長期的な開発を達成するための鍵。持続可能な開発は,アフリカの強固な意思と関与なくして成し得ない。アフリカは,三角協力を含め,アフリカの開発のためのいかなる国際的なパートナーシップにおいても運転席にあり続けることを強調したい。
<ビジネス環境の改善>
・第3に,目下の課題と今後の取組について述べたい。
・これまでの大きな進展の一方,目標達成のためには,取組の強化が必要。民間直接投資の分野には今なお大きな潜在力あり。グッドガバナンス,経済多角化,基礎インフラは,国内外の投資促進の鍵。アフリカの友人たちに対し,改革努力を一層強化するよう呼びかけたい。日本政府は,必要な支援を提供する用意があり,日アフリカ間のビジネス・パートナーシップを引き続き促進していく。
<治安・環境上の懸念への対処>
・持続可能な成長に向けた我々の努力は,紛争,テロ行為,暴力的過激主義の拡散といった治安上の懸念によって妨げられてはならない。気候変動と環境悪化といった地球規模の課題は我々の道の前に立ちはだかるべきでない。
・急速な成長や都市化が健全なコミュニティを脅かしてはならない。本日午後,「アフリカのきれいな街プラットフォーム」サイドイベントにおいて,自治体の参加も得て活発な議論が行われたと承知。我々は,これらの人間の安全保障に関わる問題に対処し,強靱な社会を構築するため,協力と連携の一層の強化が必要。
<結び>
・このセッションで共有された
TICAD V 及びVIのコミットの実施に係る全ての情報は,今後のより効果的な取組に向け,計り知れないほど貴重な基礎となっている。明日のセッションでは,議題に沿って,より具体的で詳細な議論を行いたい。
・最後に,改めて,全ての参加者に対し,TICADプロセスのフォローアップ活動への積極的な関与に感謝。