[文書名] レ・ゼコー紙(フランス)への河野外務大臣寄稿「日本とアフリカのパートナーシップは新たな段階へ」
「日本とアフリカのパートナーシップは新たな段階へ」
8月28日から30日まで,横浜で,第7回アフリカ開発会議(TICAD7)を開催します。日本は,1993年から6回,TICADを開催しアフリカの発展につき議論してきました。
2016年にナイロビで開催されたTICADVIは,同行したビジネス関係者がアフリカと更にビジネス関係を強化する好機となりました。
アフリカでは,高い経済成長と人口増の陰で若者の高い失業率が問題となり,特にサヘル地域における,難民,過激主義に走る若者等の問題が深刻です。そのため,経済多角化を進めていかなければなりません。
この人口増は市場拡大と豊富な若い労働力をもたらします。また,アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)設立協定によってアフリカ諸国間の貿易が活発となり,アフリカの更なる経済成長を促進させ,13億人規模の消費者を有する市場へのアクセスが可能となります。
アフリカは,もはや援助の対象というだけでなく,日本企業にとって有望な投資先となっています。ヤマハ発動機は漁業開発,産業振興を通じてビジネスを拡大したほか,アフリカ8カ国で安全な飲料水を普及し,現地スタッフの育成も行います。また,品質と生産性の向上の手法である日本式KAIZENがアフリカに定着しつつあります。
今回のTICAD7では,未だ控えめな日本企業のアフリカ進出の課題について,特に人材育成とビジネス環境整備を通じた解決策を議論します。
人材育成については,日本企業は,これまで進出した中国,東南アジアでの経験をアフリカでも活用できるという強みがあります。2014年以来,「ABEイニシアティブ」という産業人材育成イニシアティブに参加するアフリカの若者が,大学院への留学と日本企業でのインターンを通じて技術を習得し,本国に戻った卒業生は,日本とのビジネス関係の橋渡し役を果たしています。例えば避雷器メーカーである音羽電機工業は,このインターン生をきっかけに,自社製品のルワンダへの普及を進めています。
今回のTICAD7では,ビジネスを議題の中心に据え,アフリカ首脳と日本経済界の直接の対話の場を設けます。加えて,日本企業が仏等の欧州諸国や,アフリカのパートナーと連携することで,更なるビジネス拡大が期待されます。すでに豊田通商は,CFAOを買収し,医療,保健,教育,環境分野でビジネスを拡大しています。また,日仏両国は,持続可能な開発,保健及び安全の3分野でアフリカにおける日仏協力を推進しています。
他のアフリカとのパートナーシップのフォーラムと異なり,アフリカ諸国のみならず,あらゆるアクターが参加する包摂的でオープンな枠組みであることもTICADの特徴です。本年のG7ビアリッツサミットでは,アフリカとのパートナーシップやサヘル地域の持続可能な開発が主要議題の一つとなりました。本年G20からG7につなげてきた成果をTICAD7の場でアフリカ諸国と共有すべく,仏政府と連携していきたいと思います。
TICAD7は,企業関係者が,仏等欧州からも多くの出展があるサイドイベントも活用して,パートナーシップを強化する契機となるのです。