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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 国連開発計画(UNDP)パンフレットへの林外務大臣寄稿

[場所] 
[年月日] 2022年8月26日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

 日本と国連開発計画(UNDP)は、アフリカ開発会議(TICAD)の共催者として、TICADプロセスを通じ、長きにわたりアフリカの発展のために緊密に連携して取り組んできました。新型コロナの影響がアフリカ開発にも深い影を落とす今こそ、国際社会の連帯が重要です。日本は、これからもUNDPと共にアフリカ開発に積極的に取り組んでいく考えです。アフリカ開発について議論する国際会議として四半世紀以上の歴史を有する先駆的なフォーラムがTICADです。その第8回目となるTICAD8が8月27日~28日にチュニジアで開催されます。

 TICAD8に臨むにあたり、私たちが念頭に置くべき国際社会の潮流が二つあります。第一に、TICAD7以降、アフリカを襲った最大の変化の一つと言える新型コロナの感染拡大です。新型コロナは、アフリカにおいて経済成長の鈍化、雇用・教育機会の喪失をもたらし、特に脆弱な立場にある女性、若者、貧困層に多大なダメージを与え、格差の拡大が懸念されています。「より良い回復」をいかに実現するかは今後のアフリカ開発の大きなテーマとなるでしょう。

 第二に、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序に対する挑戦です。現在世界は、20世紀末の冷戦終結以来の転換期を迎えています。今般のロシアによるウクライナ侵略は、この時代の転換を誰の目にも明らかなものとしました。ウクライナ侵略は、世界のエネルギー・食料供給にも混乱をもたらし、アフリカの経済・社会に甚大な影響を及ぼし始めています。また、不公正・不透明な開発金融は、一部のアフリカ諸国に多額の借金を負わせ、その持続可能な発展を妨げています。

 岸田総理は、持続可能な経済成長を実現していくため、様々な社会課題を経済成長のエンジンに転換していくとの考えを示されています。格差拡大、地球温暖化、テロ・紛争等、現代社会の様々な課題を抱えるアフリカは、まさにそうした理念に基づく世界的な取組の場となり得ます。若年層を中心とした人口増が期待されるアフリカは、今や「成長の宝庫」です。日本としても、援助する国・される国ではなく、共に成長していくパートナーとして、日本らしい「人への投資」や「成長の質」を重視するアプローチの下で、持続可能で強靱な世界を共に創るべく、具体的な成果を目指したいと思います。

 TICAD8は、パンデミック発生後初めて、多数の日・アフリカ諸国首脳が直接会談する大規模国際会議であり、極めて貴重な外交機会であります。日本が信頼できるパートナーとして強い存在感を示すとともに、ポスト・コロナを見据え、日本とアフリカが持続可能な世界を共に創るための方途をアフリカ諸国や共催者と共に議論する機会としたいと思います。