[文書名] TICAD閣僚会合2024:プレナリー・セッション2(平和と安定) 深澤陽一外務大臣政務官ステートメント
1 導入
セッション2では、「人間の尊厳と人間の安全保障の確保」に向け、女性と若
者の役割強化を含む革新的取組を議論したいと思います。私から、議論のために重要と考える三つの視点を示します。
2 平和と安定に向けたWPSの主流化
一つ目は、平和と安定に向けた女性・平和・安全保障(WPS)の主流化です。日本は、持続的な平和を実現するためには、和平プロセス、災害や気候変動の対応への女性の参画が重要であると考えます。例えば、日本がUN Womenと連携してナイジェリアにおいて実施している女性避難民支援では、女性の参画や生計手段の獲得による自立の面で、具体的な成果をあげています。
また、アフリカにおいて平和を担う女性人材を地域レベルで育成すべく、今回新たに政府間開発機構(IGAD)を拠点とする「アフリカの角における女性平和人材育成イニシアティブ」を立ち上げることとしました。
AU、アフリカ諸国等とも連携し、このような好事例を他国でも展開して、アフリカ各地でWPS関連の取組を促進したいと考えています。
3 イノベーションを活用した人道・開発・平和の連携
二つ目は、イノベーションを活用した人道・開発・平和の連携です。人間の安全保障の確保の前提である持続的平和を実現するためには、難民・避難民を含む人々や地域コミュニティの生計確保、社会サービスへのアクセス、行政との信頼構築といった、紛争の予防や根本原因の対処に資する取組が重要です。
例えば、マリでは、日本の総合化学メーカーの旭化成とイタリアの高級生地ブランドが、UNDPと協力して、健康と労働環境に配慮した染色の職場、生地、資材等を提供して、染色職人の労働環境改善と収入向上に貢献しております。両社はマリで販売された生地の売上げの一部をUNDPに寄付し、事業に活用するという革新的な資金調達モデルを生み出すなど、官民連携による協力を模索しています。
また、日本は、紛争地域の復興やコミュニティ再生のために、JICAとカンボジア地雷対策センターとの協力の下で、地雷対策の技術やノウハウ等を提供する地雷・不発弾対策プラットフォームのアフリカへの展開を進めていきます。
4 アフリカ自身による平和と安定に向けた取組
三つ目は、アフリカ自身による平和と安定に向けた取組です。アフリカ自身によるグッド・ガバナンス、法の支配強化は、アフリカの平和と安定の実現のみならず、社会課題の解決や経済成長の実現にも欠かせません。日本は、TICAD8以降、司法・行政分野で3,000名以上の人材育成を行ってきました。
また、日本は、アフリカ自身による平和活動の強化に貢献するために、アフリカPKO訓練センター、AU平和基金、国連三角パートナーシップ・プログラムや国連平和構築基金等を通じた能力構築支援を実施しています。
最後に、アフリカの平和と安定に向けて、アフリカの声をよりよく反映するためにも、国連安保理改革が重要です。常任理事国と非常任理事国の双方の議席の拡大が不可欠である点で、日本とアフリカは一致しております。具体的行動に向け、共に安保理を含む国連の機能強化に取り組んでいくことを呼びかけ、私の発言を終わります。