[文書名] TICAD閣僚会合2024:プレナリー・セッション3(経済) 深澤陽一外務大臣政務官ステートメント
1 導入
セッション3では、「貿易と投資の促進」をテーマに議論したいと考えます。
アフリカ域内外との貿易、アフリカへの投資の促進を議論するに当たり、私が重要と考える三つの視点を示します。
2 アフリカの経済変革の取組促進
一つ目は、アフリカ自身の経済変革の取組の促進です。変革の鍵を握るAfC
FTA(アフリカ大陸自由貿易圏)を通じたアフリカの市場統合は、着実に歩みを進めています。地域統合が生み出す巨大な市場を前に、アフリカ域外の各国は、出遅れないようにしようと競い合っています。
日本は、本年4月以降、アフリカとの多面的な経済関係の一層の強化も念頭に、アフリカ域外の国を中心に6か国・7公館において経済広域担当官を指名しました。アフリカ開発銀行との連携により民間セクターを支援するとともに、欧州、中東、インドを中心に、様々な国の企業と連携しながら、アフリカでの貿易・投資を拡大していけるよう、クロスボーダーな事業展開を進める日本の民間企業を後押ししていきます。
3 スタートアップの促進
二つ目は、経済変革や革新的な社会課題解決につながるスタートアップの促
進です。2015年に総額3億ドルだったアフリカのスタートアップ投資は、今では23億ドルにまで急増しています。スタートアップは、農業、物流を含む産業の高付加価値化・多角化の一翼を担っています。アフリカのスタートアップ・エコシステムを共に創り上げていくためには、アフリカ各国によるスタートアップやベンチャー・キャピタル、更に、女性や若者による起業やイノベーションに対する期待や振興策が欠かせません。
本日は、これらを含めた民間セクター強化の取組について活発な議論が行われることを期待します。
4 投資環境の改善
三つ目は、民間企業から見たアフリカへの期待の共有です。国内外の資金を動
員し、持続的にイノベーションを生み出す公正・強靱なスタートアップ・エコシステムや、自由で開かれたビジネス環境を創り出すことが大切です。また、投資のアピールを行うだけでなく、投資やイノベーションを誘因する政策を一貫性をもって実施することが重要です。そのためには、プレイヤーである民間企業や投資家の具体的な困難や要望に、真摯に耳を傾けることが不可欠です。各国に設置されている二国間ビジネス環境委員会も、是非活用してください。そして、民間セクターと一緒に課題解決に取り組み、予見可能なレベル・プレイング・フィールドを一緒に創り出して頂くことを期待します。
5 結び
今回の会合では、新たな試みとして、日・アフリカの多くの民間企業の皆様の参加も得て、パネルディスカッションとネットワーキングセッションを行います。来年のTICAD9に向け、今回の会合がキックオフとなり、スタートアップを含む、日・アフリカのビジネスの間で革新的な課題解決を共に創り上げ、”Made with Japan”の具体的な展開が生まれることを期待して、私の冒頭の発言とします。