[文書名] TICAD9:全体会合1(平和と安定) 岸田文雄議長代理スピーチ
この度、議長代理としてアフリカの開発や未来につき、皆様と議論できることを大変嬉しく思います。TICADには、私自身、2015年以来、総理や外相として関与して来ており、感慨もひとしおです。
さて、最初の全体会合のテーマは「平和と安定」です。「平和と安定」は、持続的な経済成長、包摂的な社会の礎です。紛争の根本原因への取組、女性や若者の役割、人道・開発・平和の連携、アフリカ自身の取組などについて、皆様と実践的な議論ができることを期待しております。
皆様の議論の呼び水として、この分野における基本的な考え方と日本の取組を簡単にご紹介いたします。
一つ目は、アフリカ主導の紛争予防と平和構築への協力です。日本は、AUへの拠出を通じたAUソマリア支援安定化ミッション支援や、アフリカ各地のPKO訓練センターの強化に取り組んでいます。政府間開発機構とも連携し、アフリカの角地域での平和構築人材の育成も進めています。
二つ目は、民主主義、グッド・ガバナンス、法の支配の推進です。TICAD8以降、日本は、司法・行政分野で3千名以上の人材育成や、公正で透明な選挙の実施・治安確保に向けた協力を実施してきました。関連機関の能力強化への協力を通じ、アフリカの取組を後押しします。
三つ目は、コミュニティ基盤の強化と女性・平和・安全保障(WPS)の主流化です。和平プロセス、防災や気候変動の対応への女性の参画を促進すべく、日本は、女性リーダーの育成や、女性の経済的自立のための生計向上支援、女性・若者への教育機会の拡充等に取り組みます。
最後に、国際社会の平和と安定のために中核的な役割を担う国連安保理の改革も必要です。日本はアフリカと協力して取り組み、平和と安全への責任を共に担う決意です。
以上ご紹介した実例からも分かるとおり、日本は、持続可能であり、対等なパートナーとして皆で知恵を出し合って取り組む紛争予防・平和構築を理想として取組を進めています。
こうした理想をどのようにより良く実現していくのか、忌憚のないご意見を伺いたいと思います。