[文書名] TICAD9:全体会合2(経済) 岸田文雄議長代理スピーチ
全体会合2のテーマは「経済」です。TICAD9では、官民の連携による、アフリカの課題解決に貢献する未来への投資を重視しています。官民双方の力を合わせた産業の育成や、経済多角化の進め方など、言わば今回最も重要な本テーマについて皆様と議論を深めたいと考えています。全体会合1と同様、始めに日本の取組をご説明いたします。
アフリカの持続的な経済成長のためには、経済社会課題解決のための資金需要がますます増大する中、民間セクターの活力の取り込みが今まで以上に重要です。
日本のJICAはインパクト投資の促進により、民間資金の動員を進め、より効果的な開発援助を実施していきます。また、アフリカのスタートアップと日本企業が協力して産業を興す「日本アフリカ産業共創イニシアティブ」を通じ、日本企業の進出と現地産業の成長を促進します。
日本は、WTOを核としたルールに基づく多角的貿易体制の維持・強化を支持しています。後発開発途上国の卒業後も、特恵関税の適用を最長3年延長して受けることができるよう、制度改正を行いました。
アフリカ内の地域統合と域外との連結性強化も極めて重要な要素です。日本とアフリカの経済連携強化に関する産学官検討会を立ち上げます。また、「インド洋・アフリカ経済圏イニシアティブ」の下、アフリカ域外の第三国とも連携し、自由で公正なインド洋・アフリカ経済圏の構築と地域間の連結性強化を推進していきます。
鉱物資源の供給強化にもつながるナカラ回廊については、物流の円滑化や周辺地域の産業振興を併せて進める、広域オファー型協力を新たに実施します。
経済多角化や雇用創出には、産業人材育成も不可欠です。アフリカの最大の強みである若い人材の潜在力を最大限発揮すべく、産業や保健・医療、農業、AIといった幅広い分野で、今後3年間で30万人の人材育成を行います。
この後の議論は、経済分野で各国が新しい視点から、未来に向けた課題解決策を共有できる機会としたいと考えています。アフリカ発のソリューションと我が国が持つ課題解決力を掛け合わせ、日アフリカ双方の更なる繁栄に向けた有意義な意見交換ができることを期待します。